理系東大生の読書メモ

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【最後の二行でどんでん返し】二度読みたくなる「イニシエーションラブ」

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イニシエーションラブ

こんにちは。タウリです。

 

今日からGWらしいですが、なんとも実感がないですね。

 

それもそのはず、一連のコロナ騒動でなかなか外出できない日が続いているので、

「休み」といわれても一日の過ごし方があまり変わらないせいでしょうか。

 

外を見ると晴れ渡った青い空な訳ですが、アウトドアな感じもなかなか難しいし、今日も自室で作業ですね。

 

昨日読んだ「イニシエーションラブ」という本について書きます。

 

実は三年前くらいにも一度読んだことがあります。

 

この記事の後半ではネタバレが含まれます。ご注意ください。
 

この本の概要

①著者や作品について

この本の著者は乾くるみさんで、「イニシエーションラブ」の他にも「リピート」「セカンド・ラブ」などが有名作品です。

 

ちなみに乾くるみさんは男性の作家さんになります。

 

この「イニシエーションラブ」ですが、松田翔太・前田敦子出演で映画化もされています。

 

アマゾンプライムビデオで現在みられるようです。

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②一周目はよくある恋愛小説

この本は「若い男女の恋愛模様を描いた小説という体で書かれています。

 

story Astory Bが連続して書かれているのですが、同じ登場人物が登場し、Aの時系列から少し後のことがBで書かれているように見える構成です。

 

少し踏み込んでざっくり説明すると、合コンで出会った二十代の男女が、男の転勤を機に距離が開いてしまい、最終的に別れてしまうという感じです。

 

この本のタイトルである「イニシエーションラブ」は、彼らが別れてしまうところに関係する言葉です。

 

英語の「initiation」は「イニシャル」の語源でもありますが、ここでは「通過儀礼」などを指します。

 

「通過儀礼」という言葉は聞き馴染みがないかもしれませんが、例えば「この村では大人として認められるために、自力で一匹猛獣を森で狩ってこなければならない!」なんてものがあったとします。

 

これも「子供から大人になるための」通過儀礼ということになるでしょう。

 

本書では初恋のことを指し、この恋を経て(初恋の相手との別れを経て)、恋愛に対する少し成熟した考えを持つようになれるという持論が説かれています。

 

③2周目は答え合わせ(これ以降ネタバレ注意)

そういう感じで「なるほどイニシエーションラブかぁ」と思いつつ読み進めていくと、気が付けば物語が終わる最終頁まで達するでしょう。

 

しかし、最後二行で全てがどんでん返しになります。ここがなければ普通の青春小説、恋愛小説だったものが、一挙にミステリーと化すのです。

 

story Aで登場した彼氏は鈴木夕樹という名前でした。

 

story Bでも鈴木姓の彼氏が存在して、A後の世界が描かれているように見えるのですが、最後二行でこの人物の名前が「鈴木辰也」であることが明かされます。

 

しかしこの時点でも、めちゃくちゃ鋭い勘をお持ちの読者でなければ、何がどうなっているのかわからないでしょう。

 

実はAとBは同時期の話であり、彼女である女性はこの二人の「鈴木」に二股をかけていたということが明らかになります。

 

このことを理解したうえでもう一度本文を読んでみると、その痕跡がいたるところで発見できます

 

冷静になってみてみると、鈴木夕樹と鈴木辰也では人柄もあまり似ていないです。たとえ年月が経過したらある程度人も変わるとしても、ちょっと変にも思えます。

 

おすすめポイント

①巧妙なだまし方で、「うわーなるほど」と読者を唸らせるプロット

帯などにさんざん「この本を読めばあなたは騙される!」と書かれているので、多くの読者がその心づもりで読み出すことでしょう。

 

そして最後の二行を迎えるわけですが、この本のすごいところは

 

この二行がなくても成り立つし、あっても整合性が失われるようなことにはならないところです。

 

二周目には彼女の二股の痕跡がいたるところで見つかり、story AとBが同時期に進行していることが示唆的に描かれていることを多くの読者が感じ取れるでしょう。

 

まさに「まじかぁ~」という感想を持ちつつも、モヤモヤしたりするところのない爽快な読了感がありました。

 

②「イニシエーションラブ」という考え方

これはstory Bの鈴木辰也が彼女と別れるきっかけとなった職場同期の女性(のちに鈴木辰也と交際に発展)からされた話です。

 

自分なりにまとめると、

初恋においては相手のことを絶対的に重要な存在だと感じてしまい、この先には今以上大事に思える人になんて会えないと思うこともある。

しかしそれは幼さ故の思い込みであり、それに囚われてしまうと後々損をすることが判った。

交際するときには、その相手を一生愛する覚悟で始めたとしても、途中で違うなと思ったら、貫き通すよりも変わるほうが自分にとって良いこともある。

二十代はまだそうやって変更することも十分許されるくらいには子供である。

初恋とは、そういった経験をして少し大人な考え方を手に入れるための『通過儀礼』なのだ

 

といったところでしょうか。

 

なかなか参考になる考え方だと思います。とくに相手に執着しがちな若い人にとっては有用ではないでしょうか。

 

心に余裕をもつために、この考え方を常に懐に忍ばせていたいです。

Twitterでの評判

まとめ

いかがでしたか?

 

春の暖かい風に当てられながらの読書におすすめの一冊です。

 

お読みいただき、ありがとうございました!

 

タウリ